最後の当直
今日はインドのIndependent Dayで休日ですが、こちらの病院での最後の当直をしています。
ここでは毎日莫大な数の手術を行っており、毎回の当直中に何かしらのイベントが必ずと言っていいほど起こります。
術前術後の心停止、術後出血、血圧低下、徐脈、脳梗塞、胸部外傷…
日本ではほぼ自分でやったことがなかったIABP留置は30件程、central ECMO、peripheral ECMOは合わせて7件程、出血再開胸は15件程をメインでやらせてもらう機会を得ることができました。
こちらに来て半年はほぼ見学のような状態だったことを考えると、ここまで信頼され任されるようになったことは自分の中で大きな自信になっています。
このブログを書いている最中に心移植があるとの連絡が入りました(笑)
最後の当直も大変そうですが楽しみながら頑張ろうと思います。
英語が通じない
この病院は看護師の入れ替えが多く、毎年新人看護師がかなりの数入ってきます。
そこで問題なのが英語を理解できない看護師が多いということです。
こちらとしては英語を理解しているという前提で指示を出しているのですが、後々確認してみるとその指示が抜けているということが頻繁にあります。
上の看護師に確認すると「その子は英語話せないよ」と当然のように言ってきます。
インドでは様々な言語が話されているため仕方ないのかもしれませんが、少なくとも医療関係者は共通言語を持っていないとコミュニケーションエラーが起こってしまい患者に迷惑がかかってしまいます。
病院としてもそれを問題視しているようで、英語でコミュニケーションを取りましょうという張り紙が最近できました。
様々な言語が飛び交うのがインドの文化と言ってしまえばそれまでですが、それによって様々な弊害が起こってしまっているのもまた事実です。
Y-composite graft
今ついているコンサルタントの先生は右内胸動脈をin-situで使うのが好きではないので、特に若年の患者で静脈を使いたくない時は左内胸動脈とのY-compositeを作ってOMやPDAにつないでいます。
最近自分でもY-composite graftを作るようになりましたが、自分でやってみるとかなりストレスフルな手技だなと感じます。
やはりミスをしてしまうと貴重な内胸動脈が無駄になってしまうという緊張感からでしょうか。10分程の手技ですが終わった後はどっと疲れを感じます。
また吻合を置く場所や方向、吻合口の大きさを事前にしっかりとイメージできていないとうまくいかないので、全く単純な手技ではありませんが、うまくいってどちらの内胸動脈も良好に拍動しているのをみるとかなり爽快感を感じます。
日本とインドどちらがいい?
日本での心臓外科医のトレーニングは施設にもよると思いますがまずは見て学び少しずつ手技を学んでいくのが一般的かなと思います。
それに対して私がいるインドの病院は学年ごとにだいたいやらせてもらっていることが決まっており、ひとつ上の学年の人がやってるところを少し見て、それに倣ってやるという方法をとっています。
1年目は基本病棟、2年目は静脈採取や開閉胸、3年目から内胸動脈やカニュレーションを始めるといった感じで日本に比べると確実に早い段階で色々な手技を経験できます。
それだけを聞くとインドのトレーニングの方が優れていると思うかもしれませんが、どちらのトレーニングも経験した身からすれば必ずしもそうとは言えないと感じます。
手技を早い段階で莫大な数経験できるのですが、その一方で手技が自分流になってしまい、基本が疎かで見てて危なっかしいなぁと思う場面も多々あります。
その点私がラッキーだったと思うのは日本で数年基本をしっかり学んでからこちらに来れたことです。
日本で基本的な手技を怒られながら徹底的に学べ、そのあとこちらに来てから莫大な数の症例でそれを実践できたことで自分でもかなり上達できたと実感しています。
留学する時期をどうしようかなぁと迷ってる人も多いとは思いますが、個人的には卒業してすぐよりは6,7年目くらいで基本的な手技を自信を持ってできるようになったくらいが良いのではないかと感じます。
インドの結婚式
昨日から友人の結婚式に出席するためにデリーに来ています。
これがインドで2回目の結婚式ですがとにかくインドの結婚式は規模がものすごく大きいです。
軽く1000人以上の人が来ておりほんとに知り合いなのかという人もいっぱいいます(笑)
日本のようにかしこまった服装もなく私服の人がほとんどで、好きな時間に気軽に来て好きな時間に帰るといった感じです。
なかなか結婚式に参加できる機会はありませんが、インドの文化を一番実感できるイベントかもしれません。