心臓外科インド留学日記

卒後沖縄の市中病院で研修し、3年間大学病院の心臓外科に所属していました。2017年3月よりインドのバンガロールにある病院で心臓外科フェローとしてトレーニングを始めました。

肺動脈血栓内膜摘除術(Pulmonary Thromboendarterectomy)

先日CTEPH患者に対するPTEの症例が非常に多いと書きましたが、重症患者の術後管理はかなり大変です。

 

中枢性のCTEPHで全て取り切れた症例ではPAも100mmHg程度あったものが30mmHg程に低下し、自覚症状も劇的に改善します。

 

ただ術後に末梢に病変が残っている症例ではECMOやPCPS(私の病院ではPCPSは行わないので全てECMO)での管理が必要になることも多いです。

 

先日も30歳代のCTEPHの患者で大変な経験をしました。

 

術後一度抜管したものの呼吸状態が悪くなり、再挿管。PAも体血圧と同じくらいまで上昇し、central ECMOを導入。

下肢循環不全によるコンパートメント症候群を合併し、fasciotomyを行い、DICによる出血傾向でドレーンからの出血が止まらないため再開胸止血。

後日、肺動脈造影で残存病変があったためBPAを施行しました。

 

CTEPH術後の重症患者の管理ではこのようなことはざらにあるようです。

 

インドに来てから1ヶ月余りで6例のPTEを経験しましたが、ここにいる間に手術手技はもちろんですが、周術期管理、手術適応についても十分に勉強したいと思います。