緊急症例
こちらにきて驚いたことの一つに、緊急手術をほとんどやらないということがあります。
もちろん心移植や出血再開胸の場合は緊急手術を行いますが、Stanford A型の急性大動脈解離の場合はほとんど緊急で手術を行うことはありません。
予定手術に影響が出るというのが理由なようですが、急いで手術の準備をするということをせず、しっかりと術前検査を進めるので、coronaryに解離が及んでいるような患者は手術の前になくなってしまうことが多いです。
確かにこちらでは大血管の手術が元々少なく、成績も良くないのですが、すぐに手術室に運んでいればなんとかなったんじゃないかな…という患者もいて、もどかしい気持ちになることもあります。
そう考えると日本にいたときは急患が来てもすぐに手術室を準備してくれていたので救命率も高く本当に恵まれていたなと感じます。
ただ手術の件数や成績を維持するためには高リスクの緊急を避けて予定手術に集中するというのも納得できるので、何を重要視するかによって答えが変わってくる難しい問題かなと思います。